インド バラナシ

いままで訪れた国で一番印象深いのは、なんといってもインドです。カルチャーショックとは まさにこのことか という感じでした。 なかでもバラナシ(ベナレス)という街は独特な雰囲気に包まれています。ここでは建築や街を見るというより、人々が作り出す街全体の空気の中に身を置くだけでも かなりインパクトがあります。 ヒンズー教の聖地と言われるこの街の舞台の中心は 聖なる川 ガンガー(ガンジス河)のほとりにあります。ここで人々は祈り、生きている喜びを謳歌するかのように沐浴をすると同時に、川のほとりでは常に死者が火葬されています。街中を歩いていても、たびたび白い布に包まれた遺体を運ぶ人々とすれ違います。この街では生と死が日常の生活の一部になっているのです。これほどまでに鮮明に生と死を同時に意識する場所は他にないのではないでしょうか。

ガンガーに面したゲストハウス(「久美子の家」と書いてある建物)に泊りました。

不思議なこともたくさんあります。  インドでは、野良犬ならぬ「野良牛」が あちこちに徘徊しています。牛を飼うことがステイタスらしいのですが、なにしろ餌代も大変なので、手放した牛が野良化して、問題になっているとも聞きます。街の露天市場で、この野良牛が売り物の野菜を食べていても、人々は牛を痛めつけたりしません。ヒンズー教では牛は聖なる動物なのです。路傍では数多くのホームレスが餓死寸前だとしても、牛を食べることなど決してできないのです。

余談になりますが、 タージマハルがあるアグラという街から列車でバラナシ駅に降りたとき、私は手ぶらで放心状態となっていました。間抜けなことに ちょっと油断した隙に列車内で荷物を全て盗まれてしまったのです。冬だったので、上着を着ていたおかげでポケットに「地球の歩き方」と小型カメラを入れていたのが せめてもの救い。インドを旅するときは常に緊張をしていないといけないんです。何しろ「地球の歩き方」に書いてある被害事例と同じ現象が、本当に次から次へと自分の身に降りかかってくるのですから。でもインド人を恨んではいけません。悪いのは自分で、これがこの国の日常なのです。何度もだまされたり、危険な目にあったりしながらも、また訪れたくなる魔力を持った 活気に満ちた 魅力的な国です。 3度目のインドの旅をそろそろ・・と考えたりしています。

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